オイラがシンパパになるまで…其の六

生検直後のぽかちゃん オイラがシンパパになるまで

人は生まれた以上、100%この世から去る。
遅かれ早かれ絶対に。

と言うことに割と早くに気づいたのでこの記事を書いている3ヶ月後の今では、心はだいぶ落ち着いている。
当然まだ納得はできないし悲しいことに変わりはない。ぽかの肉体はすでに燃されてしまったので隣にいてくれるわけでもないし、ヘンテコなエネルギー体になったぽかと自由に話せるわけでもない。
せめて結婚した相手とはヘンテコエネルギー体になっても意思の疎通が出来れば良いんだけどな。

ちなみにオイラはもともとスピリチュアルなことに興味があり、オカルト偏差値は高い方だと思う。
また、これまでに多少ではあるものの偶然とは思えないような不思議な出来事を経験している。
なので【肉体がなくなる=まったくの無になる】とは思っていない。
バカげた話かもしれないが、肉体は魂の乗り物(アバター的なもの)という認識でいる。
また「心」や「思考」について色々と調べてみると、人は脳という臓器だけで物事を認識しているとは言い切れないみたいなんですよ。
その証拠に心が躍る時や痛む時に頭を押さえたことありますか??


さて、前回の投稿で脳生検の結果を伝えられたオイラはコテンパンにやられていた。
最も恐れていた病名、それだけは避けたかった病名を告げられたのだ。

悪性脳腫瘍である可能性が極めて高い

これまでのぽかの身体状況やMRI画像を参考にネットで調べると、必ず出てくるのワードが脳腫瘍だ。
脳腫瘍はいわゆる脳のがんなのだが、脳がんとは呼ばないらしい。
そのため、がんの様なステージではなく、グレードという分け方をする。
大きく分けてグレード1〜4まであり、グレード1はいわゆる良性の脳腫瘍。
良性ならば腫瘍部分だけを切除することで日常生活を続けることが出来る可能性が高い。
数字が大きくなるほど治療の難しさや生存率が著しく低くなる。

その中で最も悪性が高いのが
【悪性脳腫瘍、グレード4】
日本語では神経膠腫(しんけいこうしゅ)や神経膠芽腫(しんけいこうがしゅ)という名前で
海外ではグリオーマやグリオブラストーマと呼ばれる。

どうかこれにだけは当てはまらないで欲しいと願っていたのだが…

悪性の脳腫瘍、しかもグレードが最も高い可能性があります。
持って平均1年くらいです。

これまでに何人もの患者やその家族に同じ様に伝えてきたのだろう。
神妙な面持ちではあるが迷うこと無くストレートにそう告げられた。

なんでアンタなんかに、全然大した付き合いもないようなアンタに…
いきなり妻の余命宣告をされなきゃならないんだよ。

だけど、今日の時点ではまだざっくりとした診断であって、検査機関からの最終回答ではない。
ほんのわずかでも悪性脳腫瘍ではない可能性だってあるかも知れない。

一時的に思考が止まったオイラであったが、どうにかぽかを救えないか、
自分に出来ることはないのかを考えまくった。

ちなみに今のところ悪性脳腫瘍は放射線治療と抗がん剤を使った治療法が一般的。
それなりの準備が必要で今日からすぐ治療が出来るわけでもなく、まずは同意書を読みサインをする。

そうこうしているうちに「奥様の意識が戻りましたよ〜。ご面会いただけます」と看護師さんがやってきた。

まずは「無事に終わったね、がんばったね!」と励ましてあげなくてはいけない。

どう振る舞えっていうのよ

極めて絶望的な宣告をされた直後に一体どんな顔をして逢えば良いのやら。
とにかく平常心を保って、「おつかれちゃん🤗」と言ってあげたい。
そして案内された部屋に入ると、全身麻酔が切れたばかりでまだボンヤリしているぽかがいた。

生検直後のぽかちゃん

「ぽかちょん、おつか…」
手を握った瞬間、二人して顔をグシャグシャにして泣いた。
顔を見た瞬間にもう何も言えず、ただただ悲しくて。
おっかなビックリだった生検手術の後、ぽかはオイラの顔を見て安心して泣いたのかも知れないが
こちらはそんな心境ではない。
こんなにも愛している妻とあと1年ほどで「さいなら」をしなければならないのかも知れないのだから。


そしてひとしきり泣いた後、か細い声でこう聞かれた。

ぽか
ぽか

余命宣告されたん?

オイラ
オイラ

いや、今日の時点ではまだハッキリわかんないみたいだね。
脳腫瘍の可能性は高いかもとは言ってたけど…

女性は感が鋭いとよく言われるが、うちのぽかはそれが人一番強い。
これまたオカルト的な話になるが、他人様の過去や人間関係、自宅の間取りに至るまでをズバリ当ててしまうほどパワーが強い時期もあったほどだ。
そしてオイラと言えば、どんなに感の鈍い人でもわかるくらい思っていることが顔に出やすい。
ましてや24時間365日、ほぼ一緒にいて苦楽を共にした夫婦だ、何も言わなくてもわかっただろう。

たぶん何もかもバレバレ。

わがままちゃんとわずかな希望を求めて

ところで、ここに至るまでの間に手札をもう一枚用意しておいた。
ぽかが一旦病院から脱走してきていた時期、なんとしても生検手術から逃れるため他に方法はあるのではないかと脳腫瘍治療に特化した別の病院に相談に行っていた。

その結果、結局はその病院でも同じ処置を行うことになる、生検以外に正確な診断をする方法はないのだが、もし転院希望ということであればすぐにでも受け入れることは可能とのことだった。
その時点でぽか自身も可能であれば転院を望んでいた。

「オイラの頭に穴を開けたアイツを許さない!うがー!」
「治療が無事に終わったら絶対に仕返ししてやるねん😡うがー!!」
とLINEメッセージが送られてくる📱
ぽかの主治医に対する不信感が日に日に増して行く。
しかし日に日に増して行くのはそれだけではない、ぽかの症状もゆっくりと進行していく。
逢うたびに目力が弱まっているし、声にも覇気がない。
一刻も早くに治療を始めたいので現在の病院で十分良いのだとは思うが、

  • 脳腫瘍の治療に特化していること
  • 比較的に面会時間が長く設定されており柔軟であること
  • 現在の病院より自宅から少しだけ通いやすいこと
  • 何よりぽかの精神的な不安を少しでも和らげてあげること

を優先して転院希望を申し出た。

その申請はすんなりと受け入れて頂くことが出来、本格的な治療は転院先でということで
準備が進められた。
それから1週間ほどで無事に転院、さっそく治療の準備に入る。

まもなく2月が終わろうとしていた。

だだぴ
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